突入電流とは??
こんにちは、アナログ回路設計サラリーマンです。
設計者を時折悩ませる突入電流。きちんとケアしておかないと致命的な不具合を引き起こすにもかかわらず、見過ごされがちな気がします。この記事では突入電流の発生メカニズムについて紹介します。
突入電流の発生メカニズム
突入電流とは、機器のブレーカや電源スイッチをONにした瞬間に流れる過渡的な電流のことです。そもそも突入電流ってなんで発生するんだろうって思ったことありませんか?(私はあります。)突入電流の発生には電源の負荷に深く関係しています。発生メカニズムを負荷の種類ごとに紹介いたします。
①抵抗負荷の場合
まず、電源に対して抵抗のみを接続した場合を考えます。電源に抵抗のみを接続した場合は、オームの法則にしたがい電流が流れるため、電源ON時の突入電流は発生しません。
オームの法則:$$I=\frac{E}{R}$$
したがって、電源ON直後でも、そのあともずっとオームの法則にしたがった電流が流れます。しかし、実際の回路設計において、負荷が純粋な抵抗の場合はほとんどありません。
②容量負荷(コンデンサ)の場合
負荷にコンデンサがある場合、突入電流が発生します。学生時代に電気回路の授業で習ったかもしれませんが、コンデンサの場合は過渡現象が発生し、回路に流れる電流は次式のように表すことができます。
RC回路の過渡応答:$$i(t)=\frac{E}{R} \times e^{-\frac{1}{CR}t}$$
ここでオームの法則と異なり、この式にはtという時間の概念があります。式の導出に関しては省略しますが、この式からいえることは時間tが0の時に回路に流れる電流が最大となりその値はE/Rになるということです。時間tが0の時に発生する電流を我々は突入電流と呼んでいるのです。
直流回路の突入電流
以下のようなRC直列回路を考えます。ここで電源の電圧は24Vとします。先ほど紹介したRC回路の過渡応答の式より、突入電流の最大値はV=24V、R=1Ωより、24Aになることが想像できます。実際にシミュレーションして確認してみましょう。


グラフ内の赤線が電圧、緑線が電流になります。過渡応答の式にしたがい、電圧ON時の突入電流ピークが24Aになっていることが確認できると思います。ここでは説明のために回路の抵抗成分は1Ωとしましたが、実際の電子機器では、このような大きい抵抗値が電源ラインに存在することは稀です。実際は電線による配線抵抗分や、基板パターンの抵抗分などかなり小さく、数mΩ~数十mΩであることがほとんどでしょう。
交流回路の突入電流
交流回路の場合は電源ONのタイミングによって突入電流値が大きく異なります。交流電源の場合、電圧波形はサイン波となり、時間によって電圧値は変化しています。
RC回路の過渡応答の式から、突入電流は電圧Eによって最大値が決まりますので、交流電源の位相角90度もしくは270度(電圧のピークとなるところ)で電源ONされた時が最も突入電流が大きくなります。例えば、AC100Vの回路であれば最大値は141.2Vですから、抵抗成分を1Ωとした場合が突入電流のピーク値は141.2Aとなります。
まとめ
突入電流は電源の負荷となるコンデンサの過渡応答現象によって発生することがわかりました。次回は、突入電流が引き起こすトラブル事例と、実際の回路設計に用いられる突入電流防止回路について紹介したいと思います。
お読みいただきありがとうございました!
